温泉が叶える健康美容法 ~ヒートショックプロテイン(HSP)と熱は人類根源の健康美容法~

温泉が叶える健康美容法 ~ヒートショックプロテイン(HSP)と熱は人類根源の健康美容法~

人体と細胞

温泉には、人の心に安らぎを与えるだけでなく、実際に身体の状態を上げ、病気や怪我を防ぎ、回復させる力があります。全国各地には、かつて戦国時代に歴戦の武将が傷を癒したと言われる温泉が数多く存在します。温泉旅行に行くと、病気の治療効果が伝えられている温泉はいたるところにあることに驚きますよね!
このように、温泉の熱による湯治が健康にいいという概念は、大昔から経験的に知られています。現代に生きる私たちも、温泉に入るだけで身も心も癒されるイメージを簡単に想起できるのではないでしょうか。

この温泉効果は、科学的に実際の効果が証明されているのです!
病気の治療・健康維持にとどまらず、アンチエイジングを含んだ美容効果にまで及びます。その正体がヒートショックプロテイン(HSP)という、特殊なタンパク質です。
ヒートショックプロテイン(HSP)が具体的に何をもたらし、温泉とどういう関係にあるかを紐解いていきます。

温泉に行くとき、ただ漠然と湯に身を静めるだけでなく、自分の美と健康にとても有益であることにより意識が向きます。本稿を読めば新たな世界に引き込まれるはずです!

交告承己

美容アドバイザー

この記事は美容管理アドバイザー交告 承己(こうけつ うい)が執筆しました

日々、お肌について悩むお客様からのご相談をお受けしているお肌美容の専門家です。おひとりおひとりに対して懇切丁寧に、アドバイスをさせていただいております。スポーツ記者だった経歴を活かし、運動や健康管理の側面からも、美容に関して鋭く迫ります!

健康的で肌の美しい女性

1.ヒートショックプロテイン(HSP)の自然治癒作用

免疫力が子どもは高い、と言われます。これを読んでいただいている皆さんも、たとえば幼少期に転んでけがをしたり、擦りむいてしまったときに「そんなものは放っておけば治る!」「お風呂に入って寝たら治る!」と言われてしまったことはありませんか?

まさにこれは、人が本来持っている自然治癒力のことです。けがをしたり病気になったりしたとき、人間は本来そうしたダメージを再生する機能を持っています。
ヒートショックプロテイン(HSP)がその機能の正体です。我々の健康や美しさにとって重要なキーとなります。その仕組みを見ていきましょう!

老齢の女性

1-1 健康も美肌も自然治癒のおかげ

温泉は、実は自然治癒力ととても大きな関連性があります。
全国の温泉で喧伝されている効能を思い起こしてみましょう。たとえば“リウマチに効果的!”、“ツルツルの美肌になれる”、“怪我が治る”など、多くの効果を求めて全国から温泉に人は出向きます。これは温泉に入ることで、身体の中にある自然治癒力が高まることと結びつくのです。つまり、温泉の熱が身体に働きかけること大事!ということです。

血流の改善や、体温の上昇による血液循環の高揚による「いい気持ち」というだけではありません。近年明らかになってきたのが、熱によって生じるヒートショックプロテイン(HSP)です。
人間の身体が怪我や体調不良などに陥るのは、何らかの原因でタンパク質の構造が崩れ、正常に機能しなくなってしまうことが理由です。

肌荒れなど、お肌の症状も同じです。紫外線や強風のダメージ、或いはストレスや不規則な生活などによってタンパク質が崩れ、お肌ダメージとしての症状が顕在化します。
ヒートショックプロテイン(HSP)は、崩れたタンパク質の構造を正常化してくれるのです。ヒートショックプロテイン(HSP)は、加齢やストレスで減っていくため、それによってタンパク質の修復ができなくなることが、老化現象が引き起こされる原因ともされています。

健康も美肌も自然治癒、ヒートショックプロテイン(HSP)のおかげで維持ができます。
温泉は最も手軽に効率よく、ヒートショックプロテイン(HSP)を産生できる手段です。その仕組みを、次の項目で見ていきましょう。

活動的な女性

1-2 ヒートショックプロテイン(HSP)が司るストレス防御

ヒートショックプロテイン(HSP)はもともと体内に存在する物資ではありますが、ヒートショック(熱ショック)と付けられた名称が示すように、身体に熱負荷がかかることによって、細胞内に発現するという特殊なタンパク質です。

ヒートショックプロテイン(HSP)が増加することで、傷ついたタンパク質がストレスから守られ、そのことによって免疫力も上がり、総じて健康や美容が保たれていることが、最近の研究で明らかになってきました。
つまり、温泉にゆっくり浸かることで身体の芯から温まるとヒートショックプロテイン(HSP)が増え、身体の機能が整備されるため病気や不調が治りやすくなるのです。
人間の身体は、水分を除けば後の大部分はタンパク質で構成されています。

身体のなかでは、常に新しいタンパク質が作られ、必要な場所に送られています。その際、新たに産生されたタンパク質は、きちんと決まった正しい構造に作られなければなりません。同時に古くなって機能を失ったタンパク質は、きちんと分解されて処理されなければなりません。

こうしたタンパク質の一連のサイクルにおいて、まるで付き人やマネージャーのようにサポートしているのがヒートショックプロテイン(HSP)なのです。タンパク質がストレスやショックで正常な構造から崩れそうになるとき、ヒートショックプロテイン(HSP)はストレス防御の盾となってタンパク質を守るために増加し、ダメージを防御し修復するのです。
ヒートショックプロテイン(HSP)が司るストレス防御の全貌が以上です。

細胞を守るイメージ図

2.ヒートショックプロテイン(HSP)を増やす方法とは?

ヒートショックプロテイン(HSP)の働きについて、ここまで見てきました。
次はいよいよメインテーマの温泉との関連性について迫ります。
ヒートショックプロテイン(HSP)を増やすためには、どうすればよいのか?
そのことに着目したとき、温泉が必然的にクローズアップされます。いったいどういうことなのかを、早速みていきましょう!

外敵から人体を守る細胞

2-1 温泉効果!熱によって増やす

そもそもヒートショックプロテイン(HSP)と名付けられたきっかけは、1960年代にイタリア人の研究家が、高温で飼育していたハエに、特異的な遺伝子を発見したことでした。
論文に発表され、高温という熱ショックによって発現する物質として、ヒートショックプロテイン(HSP)、すなわち熱ショックタンパク質と呼ばれるようになったのです。科学が進歩した現代の研究において、より簡潔で具体的なヒートショックプロテイン(HSP)の増加方法が明らかとなってきました。それが、「適温における長めの入浴」という事実です。

一般のお風呂のような42℃の水温で、5分間というような入浴方法では、ヒートショックプロテイン(HSP)は増加しません。しかし、40℃前後のお湯でも20分以上の入浴をした場合は、ヒートショックプロテイン(HSP)が増加することが明らかとなったのです。また、硫黄などの無機成分が含まれている温泉だと保温力などが通常よりも上がり、ヒートショックプロテイン(HSP)の上昇率が上がることもわかってきました。
このように、熱によって増えるヒートショックプロテイン(HSP)の特徴を考えた時に、お風呂に入る習慣のある日本人のメリットが浮かび上がります!

髪の美しい女性

2-2 温泉がもたらす健康で愉快な老後

温泉に入るという、人生における一大お楽しみイベントは、ヒートショックプロテイン(HSP)を増やすための重要なキーをすべて満たしていることが、おわかりいただけたと思います。
ヒートショックプロテイン(HSP)の産生力は、年齢を重ねることにつれて低下していきます。高齢者はそれゆえに、免疫力やストレス耐性が下がってしまいます。

温泉はそんな高齢者の老後に、愉快なひと時と健康を届けてくれます!少なくなってしまったヒートショックプロテインを補いながら、のんびりストレスを解消することで、身体環境は大きく改善していくことが期待されます。これは美容においても同様です。

定年などを迎え、プランが何もないとお嘆きの方がいらっしゃるならば、是非温泉巡りなどでゆったりした生活を送ってみて下さい。身体の調子が整うと、また新たな意欲や目標が見つかるかもしれませんよ!

3.まとめ

健康と美肌の秘訣は自然治癒力にあり、自然治癒力を維持していくにはタンパク質を正常な状態に保つ必要があることがわかりました。そしてそのためには、ヒートショックプロテイン(HSP)を意識することが大変重要であることがご理解いただけたかと思います。温泉はヒートショックプロテイン(HSP)を活性化させるまたとない最適な手段なのです!

暖かい温泉にゆっくり浸かることは、ご年配の方だけでなく日々の暮らしに忙殺されそうな働き盛りの方にとっても、ひとときの憩いとなるでしょう。気分的にもスッキリしますしますよね♪

この記事をお読みいただけた方はぜひ、次回からヒートショックプロテイン(HSP)を意識して、少しゆっくりめに温泉に浸かってみてください。あなたの身体の自然治癒力を取り戻すことで、これからの人生をより元気に美しく送って頂けることを願っています。